活用事例
相談事例:
【土地の価格】相場を決めて!
【山林の価格】場所さえも判らない
【地代の増額】上げたいのが、、
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相談事例
* 具他的な事案の内容によっては,他の不動産関連専門家(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、公認会計士)らと協力・協同して回答、解決の道を探っていきます。
【土地の価格】・・・相場を決めて!
相談:お隣さん同士(AさんとBさん)でのAさん所有の土地の一部をBさんが購入するという話。ところが売買対象となる土地が非常に特殊な形状だし、道路にも面していない。お互いにじゃあ相場でと決めたのだが、その相場さえも判らない。
そこで、お二人で相談にみえた。「相場価格を決めて下さい」と。
回答:まずお二人を確認しました(人定[ジンテイ]と言います。)。持参された不動産登記簿謄本、Aさんの土地の一部で売買の対象となる部分の分筆図面と免許証などで確認しました。
次にお二人の意思確認です。どういう理由で売買するのか、お二人で考えている「相場」ってどういうものなのか、わたくしが評価した価格で決めていいのかなどです。
さて、不動産鑑定評価の理論では、隣接した土地の価格を決めるとき厳密には「限定価格(注)」という概念で評価します。しかし、この相談の場合、そんなややこしい概念が登場したらかえってややこしいな、と判断しました。また非常に特殊な形であることを考慮することは無意味と判定しました。
以上のことを理解してもらってから、後日現地調査をしました。現地をみてみるとお二人は気がつかなかった下水道の地下配管や雨水の処理のこともありましたので、お二人に確認し、十分に判ってもらいました。
さて、10日ほどで評価書ができましたので、御足労でしたがお二人に事務所に来ていただき、揃って評価書を説明させていただきました。勿論評価手数料は折半で支払っていただくことにしました。
注:限定価格とは
不動産鑑定評価基準では、「市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。」と定義されています。・・・・ムムムッ、難しい!
【山林の価格】・・・場所さえも判らない
相談:たまたまだとは言えないのかも知れませんが、とある中堅企業甲社の財務部の担当者からの相談でした。
10年以上前に甲社の業績が急成長した頃、取引先の社長が個人的に所有していた奈良県の吉野の山奥にあるという山林を購入していました。甲社は株式上場を目指しており、不動産資産の洗い出しをすることになったそうです。ところが、購入した山林について権利証(登記済証)や固定資産評価証明はあるのですが、具体的な所在というか地理的な位置についてさえも前所有者は亡くなっているし、甲社内にも判っている人がいないので困っているとのことでした。

回答:奈良の吉野郡などの山奥での個別の山林の場所などは、さすがに机上では判りません。現地に赴いて役場の林政担当や森林組合で調査する必要があります。加えて地元の精通者にヒアリングして見つけ出さねばなりません。面積についても「縄延び」とか「縄縮み」という測定誤差があって、実際面積が公簿面積の3倍、10倍や中には100倍、10分の1などであるのは常識です。林地上の立木(りゅうぼく)の方に価値が高い場合もよくあります。また実際の価値よりも鑑定評価手数料の方が高額になってしまうことさえよくあります。
そのようなことを説明した上で、ご相談者に納得してもらい、現地に赴き、少なくとも1泊しなければならないことで、場所の確定、実際面積についての概算、概略的な簡易査定をさせていただくことになりました。かかった費用は交通費・宿泊費の実費を別として10万円ほど請求させていただくことにしました。
今回のご相談は初夏でしたのでよかったのですが、雪の積もる冬などの場合は、すぐには現地に行けませんし、調査当日は晴れていましたのでスムーズに進めることができたので助かりました。
【地代の増額】・・・上げたいのだが、、、
相談:相続された土地は、先代が現在の借地人さんの先代さんに貸されたものだそうです。先代さん同士は親戚付き合いをしていた友人で、安い地代でお貸しになり、その後も値上げなどあまりしてこなかったとのことです。
しかし、現在はお互いに代替わりしてドライな関係でしかないので、地代を一般的な水準まで値上げしたいのだが、どの程度を請求すればいいのかが判らないと言う相談でした。
回答:はじめはメールでの相談でしたが、ご相談の土地の所在なども明確ではないし、借地の詳しい内容まではお聞きできないので「一般的な回答」しかできませんでした。
よろしければ契約書や借地の経緯が判る書面などをお持ちになって事務所にお見えになれば、有料(1万円)となりますが具体的な事案に沿った回答ができますと言い添えました。ご相談者からその後メールがあり、事務所におみえになることになりました。
数日後、お願いした書面などを持参されたので、地代の値上げには理由が必要であることを説明しました。つまり、
借地借家法(第11条)には、地代の値上げの理由として、
^土地に対する租税その他の公課(固定資産税など)の増(減)
_土地の価格の上昇(若しくは低下)その他経済事情の変動
`近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となった
のいずれかが必要であることを説明しました。
ともかくも肝心なのは現時点で地代が不相当な水準でなければならないのです。
お聞きした実際の地代の額は、ご相談者が支払われているその土地の固定資産税と都市計画税の額の2倍にも満たない程度でした。鑑定協会が実施している地代事例の収集・分析を長年担当していましたので、随分低い水準にあると直感しましたので、値上げの理由はあるようですと回答しました。しかし、確実なことはその土地や地域の資料等を集め、分析してみないと言えません。
申し訳ないのですが、水準がどうであるかとか、どの程度の値上げ請求が妥当であるかの回答には、時間と別途費用がかかるがどうなさいますかと答えました。加えていっきに2倍とか3倍の請求をされることは避けて下さい。徐々にが大切です。借地関係は今後も継続的に長く続くことですので、「良好な関係」を壊さないように借地人さんも納得できるような話をして下さいと僭越ですが申しました。
後日談ですが、ご相談者からメールが入り、固定資産税等の額の3倍に当たる額への値上げを申し入れ、その額を借地人さんも納得されたそうです。そしてまた2年後ごとに少しずつの値上げをしていきたいとの内容でした。